田中恒成が史上最速の世界4階級制覇「これが欲しかった!」 井岡一翔、井上尚弥に次ぐ日本人史上3人目の快挙…WBO世界S・フライ級王座決定戦
プロボクシング ▽WBO世界スーパーフライ級(52・1キロ)王座決定戦 同級1位・田中恒成―同級2位クリスチャン・バカセグア(24日、東京・両国国技館) WBO世界スーパーフライ級王座決定戦は、同級1位の田中恒成(畑中)が、同級2位のクリスチャン・バカセグアに3ー0の判定で勝利し、井岡一翔(志成)、井上尚弥(大橋)に次ぐ日本人3人目となる世界4階級制覇に成功した。記録的には元世界6階級制覇・オスカー・デラホーヤ(米国)の97年4月の24戦目を上回る、史上最速21戦目で達成した。統括団体WBOだけでの4階級(ミニマム、フライ、ライトフライ、スーパーフライ)制覇も史上初となった。 × × × × 3年2か月ぶりのリングで、田中恒がボクシング史に刻む金字塔を打ち立てた。井岡、井上尚に次ぐ史上3人目の4階級制覇。大歓声に沸く両国国技館で勝利のおたけびを挙げた。前に出てくる好戦的な相手をさばいて、8回の左ボディーからの上への連打でダウンを奪うなどして勝ちきった。 試合後の勝利者インタビューでは「これが欲しかったんでれうしいです」と感無量の表情を見せ、3年2か月ぶりのリングでの勝利に「満足していない自分がいるのでれうしい」とかみしめた。 史上最速記録の“デパート”のような男だ。15年に井上尚弥のデビュー6戦目を抜く、同5戦目で世界初奪取。18年は史上最速タイの12戦で世界3階級制覇を達成した。しかし、どこかで勘違いしている自分がいた。「(変わった)きっかけはすべてあの試合です」。20年大みそか。4階級制覇に挑んだWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチで、現・WBA同級王者で日本人史上初4階級制覇の井岡一翔(34)=志成=に8回TKO負けを喫した。攻撃的なボクシングを封じられ、弱点だった守備を突かれて2度ダウンを奪われ後にレフェリーストップで終戦。自分のボクシングすべてを否定されるかのような屈辱的な初黒星だった。 自分を見直すきっかけは、21年東京五輪で61年ぶり銅メダルを獲得した兄・亮明さん(30)の生き様だった。「ボクシむきあいむきあい方、自分自身の考え方、生き方がガラッと変わった」と恒成。教員アマボクサーの兄は、常勝の自分と違い、何度負けてもはい上がる男。兄弟仲の悪かった兄から「俺の足りないところを教えてくれ」と頼まれ、手書きの課題メモを渡した。そのメモを基に守備的だった兄は恒成の攻撃的な戦法を身につけ表彰台に上がった。父・斉さん(56)は「人間の、スポーツの根底の大事なところ、それを知ったんじゃないかな」と話した。 コロナ禍で無観客開催だった東京五輪のボクシング会場も両国国技館だった。当時は地元の岐阜市内で兄の快挙をテレビで観戦した。それから約2年半。今度は兄も応援に駆けつけ、多くの観客に沸いた両国国技館で自分がプロのリングで歴史的勝利を挙げた。 今後は1階級上のバンタム級で日本人初の5階級制覇も照準に入れつつ、井岡へのリベンジも含めたスーパーフライ級での4団体統一をにらむ。 所属の畑岡清会長は「5階級制覇も6階級制覇もたぶん世界最速になると思いますよ。今から本当の田中恒成物語の始まり。さあ、どうなるか。こっからの10年が面白い」と腕をまくった。 ◆田中恒成(たなか・こうせい)1995年6月15日、岐阜・多治見市生まれ。28歳。ニックネームは「中京の怪物。」3歳から空手を始め、小5でボクシングに転向。岐阜・中京高では全国4冠。高3時の2013年11月、B級(6回戦)でプロデビュー。15年5月、国内最速5戦目でWBO世界ミニマム級王座を獲得した。16年12月に同ライトフライ級王座を獲得。18年9月には同フライ級王座を奪取し、世界最速タイとなる12戦目での3階級制覇を達成した。20年12月、同スーパーフライ級王座を目指した井岡戦で初黒星。身長165センチの右ボクサーファイター。

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